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マウントゴックス事件について

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2023年現在、国家がその価値を担保する法定通貨以外に、物質として実在しないコンピューター上の通貨である「仮想通貨」(暗号資産)が存在し、年々利用者が増加する中でその価値が高まってきています。

そもそも仮想通貨の始まりは、2008年10月にまで遡ります。
当時サトシ・ナカモトと名乗る人物がビットコインに関する論文をウェブ上で発表したことがきっかけとなり、その論文に感銘を受けた複数の人物がその実現に向けて開発を進めたことにより、誕生したのがビットコインです。
比較的その存在が新しいビットコインですが、発表当時とは比較にならないほどの価値を誇っており、1BTC(ビットコイン)の価値は2023年12月現在で約637万円まで価値が高まっています。
仮想通貨は通貨に代わる財産という側面の一方で、非常に高ボラティリティである為、極めて高い射幸性がある投資対象としての認識が広まっています。

そんなビットコインですが、現在の存在価値に至るまでには様々な変遷を得ている訳ですが、その歴史の大きな節目として、マウントゴックス事件という出来事が挙げられます。
この記事ではマウントゴックス事件の概要について解説していきたいと思います。

事件の概要

事件の概要
そもそもマウントゴックス社は、世界的に人気があるマジック・ザ・ギャザリングというカードゲームの取引を主な事業として行っておりましたが、2010年に会社の方向性を転換し、ビットコインの取引を主な事業として行うようになりました。
その後、またたく間に同社のビットコインの取引量が増加し、2013年には世界中で行われているビットコインの取引量の7割がマウントゴックス社の取引所を介して行われるまでになり、一見事業は順調に見えましたが、異変が起きます。

2014年2月7日、マウントゴックス社は突然ビットコインの出庫を停止し、同月の25日にビットコインの取引を全停止となり、業界に衝撃を与えました。
その理由としては、システム障害ということで当初説明されていましたが、実は同社が管理していた顧客のビットコインが大量に流出していたことが原因でした。
なんと、顧客の75万ビットコイン、会社保有の10万ビットコインという合せて85万ビットコインという、当時の価値で約470億円もの金額が流出してしまったのです。

その後間もなく犯人が逮捕された

業界を大きく騒がせた事件の翌年である、2015年8月に逮捕されます。
一人目の逮捕者は、当時の社長であるマルク・カルプレス氏です。
嫌疑の内容としては、システムの不正利用を通しての横領というものです。
発覚の理由として、同氏の預金が不自然に増加していたことがきっかけで、容疑者の一人として逮捕されています。

しかしその後、彼は私的電磁記録不正作出・同供用罪という罪状で有罪にはなりましたが、横領を含めてかけられていた全ての嫌疑に対して無罪判決となっています。
しかもこの有罪判決も、当時会社を譲り受けた際、既に同社が保有するビットコインと、システム上の残高に乖離が生じており、その事態を防ぐために措置をとろうとした事が、今回の有罪部分に繋がっています。
必要な措置をとろうとしただけなのに有罪となってしまうということは、ある種の悲劇とも言えるでしょう。

真犯人は誰?

2023年、米司法省はマウントゴックス社のハッキング事件に関与したという事で、アレクセイ・ビリュチェンコ氏、もう一人はアレクサンドル・ヴェルナー氏を起訴しました。
起訴内容として、当時のマウントゴックス社の取引所から盗んだ64万7000ビットコインの資金洗浄を行ったというものです。
彼らは2011年から2014年のマウントゴックス社が管理していたビットコインのほぼ全てが流出するまで盗み取り、そのビットコインを自身らが管理している取引所を通じて、売却を試みていたとされています。

甘かったセキュリティ面に対する指摘

甘かったセキュリティ面に対する指摘
横領事件というものは、当然一番悪いのは盗み取った犯人ですが、ビットコインを管理するマウントゴックス社のセキュリティ面にも問題があったと指摘されています。
問題点の一つ目は、資産の管理システムが常にオンライン状態であったという事です。
この状態の仮想通貨のことをホットウォレットと言いますが、ネットが繋がった状態での管理だと、入出金処理がしやすいメリットはあるのですが、オンライン状態だと、ハッキングの危機にさらされやすいデメリットがあります。
この事件後からは、仮想通貨の管理はオフラインで行う、コールドウォレットとして管理すべきだという風潮が高まり、今では当たり前の考え方になっています。

もう一つのセキュリティ面の甘さとして、取引所を利用している顧客のビットコインと、会社が保有しているビットコインを同じ口座で管理されていた点です。
本来であれば、顧客と会社保有分のビットコインは分けて管理しなければならないのに、この様な管理方法が取られていたという事は杜撰と言わざるを得ません。

マウントゴックス事件の影響

事件を通して、そこまで価値が上がり続けていたビットコインをはじめとする仮想通貨のイメージが「危険なもの」という認識になってしまいました。
この事件を通して、業界全体の見直し、法律の整備などが行われることとなります。

その大きなものとして、2017年4月1日から施行された「改正資金決済法」という法律の制定が挙げられます。
この法律の制定を通して、ビットコインなどの仮想通貨を取り扱う全ての業者は、暗号通貨交換業への登録が必須となりました。
登録を義務付けることで、横領などの悪意をもった事業者を排斥することに繋がり、利用者がより安全に仮想通貨での取引を行えるような環境が整っていきました。

もう一つは、財務規制が敷かれた点が大きな変化であり、暗号通貨取扱業者は資本金が1000万以上必要であり、総資産額がマイナスでない事が、事業を始める条件となりました。
この規制により、仮想通貨取引を行う顧客の資産をある程度保障できるような枠組みが整えられていったのです。

また、マウントゴックス社が行っていた様な、顧客の資産と、会社保有の資産を一緒に管理する事が禁止されました。
暗号資産取扱業者は、顧客と自社の資産を分けて管理する、分別管理が義務付けられる様になっています。

これらの環境が整えられていく中で、仮想通貨(暗号資産)業界は盛り返し、今ではその代表格のビットコインの価値は変動しながらも、上昇を続けており、2023年現在において1BTC(ビットコイン)630万円もの価値にまで高まっています。
事件を通して、業界全体の環境が整えられていったと言っても過言ではないので、負の歴史でもありますが、業界にとっては大きな意味がある事件としても認識されています。

マウントゴックス事件の保証について

マウントゴックス事件の保証について
実は2014年に経営破綻手続きをした同社ですが、債権者から民事再生が求められる中で、破産手続きから一転して、民事再生手続きへと移行することになります。
と言うのも、マウントゴックス社が保有しているビットコイン、及びビットコインキャッシュの評価額が事件当時よりも遥かに高まっているからです。

なんと2019年時点の評価額で、マウントゴックス社は1兆500億円相当の同仮想通貨を保有していることが報告されており、事件で損失した526億円を遥かに上回る状態だったことが、民事再生手続きへの移行に踏み切った大きな理由と言えます。
その後、民事再生手続きを通して、債権者へ被害額が返金される予定となっています。

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