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仮想通貨界の悪夢!The Dao事件とはどんな事件なのか

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仮想通貨の重大事件はいくつかあります。
その中でも印象深いのが2016年に発生したThe Dao事件です。
この事件では大量のイーサリアムが流出し、しかも資金移動システムがハッキングされるという、仮想通貨の信頼性を大きく損なうことが起こりました。
そこで今回は、The Dao事件とはどのような事件なのか、そのごどうなったのかといった点にフォーカスして解説しましょう。

The Dao事件の概要

最初にThe Dao事件の概要を解説します。
一言で言えば、2016年に新しい仮想通貨の立ち上げ(ICO)を行った際に大量のイーサリアム(ETH)が不正流出した事件です。

舞台はイーサリアム上の分散型投資ファンドである「THE DAO」です。
この投資ファンドに送金される資金移動システムに脆弱性があり、これを突いたハッカーが集めた資金を不正送金することに成功しました。
最終的にはホワイトハッカーの集団によって事態が収束したものの、仮想通貨業界の信用失墜とイーサリアムの価格暴落が起こります。

以上の出来事について次の項目から順を追って説明していきましょう。

The Dao事件の詳細

2016年、イーサリアム上で分散型投資ファンド「The Dao」が立ち上げられました。
これはイーサリアム上で投資を募る組織のことです。
投資先をファンドの参加者が投票で決め、利益が上がったらDAOと呼ばれるトークン(暗号資産、仮想通貨の一種)としてDAOを分配するというものでした。

その提案に賛同する投資家は多くThe Dao次々に資金が集まり、その資金はイーサリアムによって貯められていきました。
最終的に2016年にクラウドセールで当時のレートで1億3900万ドル相当のイーサ(ETH)を集めることに成功します。
その金額は発行されたイーサリアムの15%であり、いかに注目された案件であるかが分かるはずです。

事件発生

しかし、ここで事件が発生しました。
2016年6月17日、ハッカーがハッキングに成功し、The DAOにあったイーサの約3分の1にあたる364万イーサをDarkDAOと呼ばれる場所へ不正送金したのです。

最初に気付いたのはSlock.it(ドイツ・ザクセン州に本社をおくスタートアップで、第三者の仲介なしで家、車、洗濯機、自転車など鍵をかけられるものであればどんなものでも容易に売買、賃貸または共有できるシステムを開発する企業)の社員です。
The Daoから258イーサが流出していることに気付き、さらにそれがDarkDAOに吸い上げられていることを知ります。
そして、吸い上げられる金額が徐々に高額なものとなり、数時間後にはThe DAOの保有する31%が不正に送金されていたのです。

ただ、この様子は一般の投資家には気づかない技術を利用していたもので、残高が減っていないように見せかけるプログラムを使用しての行為でした。
この事態を把握したイーサリアムの創始者のヴィタリック・ブテリンは、行動の選択を迫られます。

幸いThe Daoが発行したトークンは28日経過しなければ引き出せないルールになっており、一時的なソフトフォーク状態でした。
この28日間の間に犯人を見つけ出して流出したイーサリアムを回収するか、あるいはそのまま犯人を見逃すか、さらには他の手段をとるかといったものです。
いずれの選択肢もイーサリアムや仮想通貨業界の信用を一気に失墜させてしまうものであり、決断できずにいたのです。

犯人の動向

犯人の動向
一方、犯人は10月下旬になって匿名で取引ができるShapeShiftという取引所でハッキングしたトークンをビットコインに両替しようと試みます。
ハッキングしたごく一部のトークンを282ビットコインへ交換する行動に出たのです。

幸い、ShapeShiftはこの問題行動をいち早く察知し、ごく一部の交換だけで取引の無効化に成功しました。
このようにストップをかけられたものの流出した資金は戻ってくることはなく、現在のレートで約110億ドル(約1兆2700億円)に相当する金額であり、仮想通貨市場最大の流出事件になりました。

なお、現在もこの事件に関わったハッカーは不明とされています。
ドイツ出身の起業家やブラジルのプログラマーが挙げられたものの、真実は闇の中です。

宙に浮いた流出しているイーサリアムはどうなったのか、次の項目で解説していきましょう。

ホワイトハッカーが活躍したThe Dao事件の収束

当時、特定のユーザー(この場合ハッカー)が主要なアルトコインの一つであるイーサリアムを全発行量の5%持つということは異常事態でした。
この状況を収束するにあたってホワイトハッカーチームが組織され、流出分の資金凍結に成功します。
ただ、その次の一手でイーサリアムのコミュニティは紛糾します。
ソフトフォークで収束させるか、ハードフォークするかです。

ソフトフォークは、口座を凍結するという方法で、ホワイトハッカーたちが最初に取った手です。
ハッキングが行われた取引以降のハッカーのアドレスやその関連アドレスの取引が無効になっている状態で、それを維持したまま従来のイーサリアムの取引を行います。
このソフトフォークによって、ハッカーのアドレスには取得したイーサリアムが入っているものの取り出せない状態を作れます。
しかし、このソフトフォークは流出した被害者のイーサリアムも永久に取り出せないのです。

一方、ハードフォークは、時間の巻き戻しです。
ハッキングが行われる前までブロックチェーン全体を巻き戻し、そして別のブロックチェーンを分岐します。
これによってハッキング前のイーサリアムがもともとの所有者に戻る反面、ハッキング後の取引が全て無効になるというリスクも伴います。

このように究極の選択を迫られたイーサリアムのコミュニティは結局、ハードフォークを実施し、ブロックチェーンを分岐させ新しいブロックチェーンを立ち上げることになりました。

大規模なブロックチェーンの巻き直しによって、ハッキング後の取引が全て無効になったものの、The Dao事件は収束したのです。

ただ、イーサリアム自体に大きな変化が起こることになりました。

The Dao事件後のイーサリアム

Dao事件後のイーサリアム
イーサリアム自体もThe Dao事件の後、大きな変化が起きます。
それは新たな仮想通貨、イーサリアムクラシック(ETC)の誕生です。

イーサリアムはブロックチェーンを新たなものに取り換える大規模な変革が行われました。
これによって、オリジナルのブロックチェーンが残された形となり、オリジナルのブロックチェーンを継承する形で新しいアルトコイン、イーサリアムクラシック(ETC)が誕生したのです。
そして、現在も海外の仮想通貨取引所を中心に、イーサリアムとイーサリアムクラシックの両方が取り扱われるようになりました。

クラシックを冠したイーサリアムクラシックの方が新しく開発されたことになっているのは、このような理由です。

The Dao事件は仮想通貨業界に深刻な影響をもたらしました。
しかし、イーサリアムクラシックの誕生という形で新しい局面へと進むきっかけになったとも捉えられます。

このようにイーサリアム自体は信用自体失墜することになり、ビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインの盟主としての座を失いました。
それでも、1年以上かけて多くのユーザーがイーサリアムに投資を再開し、現在では再び時価総額でビットコインに次ぐ巨大な資産を持つ通貨としてカムバックしています。

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