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業界最大手の取引所・バイナンス(Binance)がアメリカから締め出し?その背景とは?

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証券取引所と言えばニューヨーク証券取引所が世界最大手とされています。
一方で、仮想通貨の取引所と言えば、バイナンスが現在世界最大の取引所として圧倒的な存在感を示しています。

このように一見盤石とも思われるバイナンスも2023年11月にアメリカ市場から締め出されてしまいました。
さらに数十億ドル規模の罰金支払いまで受けたのです。
業界最大手の取引所に何があったのでしょうか。
今回はバイナンスのアメリカ完全撤退について解説します。

バイナンスとはどのような取引所か?

バイナンスは、中米のケイマン諸島にある仮想通貨取引所です。
しかし、実態は中国系の組織が運営している取引所でもあります。

もともと中国の上海でチャンポン・ジャオによって仮想通貨取引所を運営していましたが、2017年に中国政府が仮想通貨の取引を全面禁止し、日本に拠点を移したという経緯を持ちます。
さらにその日本でも2018年に規制の対象となり、オフィスを地中海のマルタ、さらに中米のバミューダ諸島へ移転するなど転々としました。

しかし、このオフィスの移転がバイナンスの世界シェアを高めることに貢献し、欧米の仮想通貨市場への足掛かりとなったのです。
これによって、世界最大の通貨取引所として活動することとなり、拠点を移転した日本でも日本の取引所であるサクラ・エクスチェンジ・ビットコインを買収し、進出を進めました。
なお、拠点はあるものの日本政府の規制によって日本在住のユーザーがバイナンスで取引するのは困難な状態になっています。

取引所としての特徴

次にバイナンスの取引所としての特徴を紹介します。
バイナンスの特徴は、取り扱い通貨の豊富さ、手数料の安さ、そして流動性の高さが挙げられます。

最初の特徴は取り扱い通貨は250種類を超えるのが特徴です。
これは日本の仮想通貨取引所の10倍以上であり、価格が大きく変化する暗号資産も取り扱っているため、ダイナミックな取引も期待できます。

2つ目の特徴は手数料の安さです。
一般的な海外の仮想通貨取引所は、相場として取引金額の0.2%に設定されていることがほとんどです。
一方、バイナンスはそれらの取引所をさらに下回る0.1%に設定されています。
これは、仮想通貨取引所の業界ではトップクラスの安さです。

安い手数料であっても、群を抜くユーザー数であることから十分な利益が確保できます。
なお、バイナンスが発行している仮想通貨(独自トークン)であるバイナンスコイン(BNB)を使用すると、取引手数料は半額となる0.05%です。

そのため、利用者の多くはバイナンスコイン(BNB)を保有しており、その効果も手伝って時価総額で多くの有力アルトコインを抜き去り、仮想通貨第3位という地位を築いています。

バイナンスでは流動性の高さも特徴です。
流動性とは、個人間の取引ができる取引所ですぐに暗号資産の買い手や売り手がつくかどうかを示すものです。
バイナンスはユーザー数が多いため、流動性が高く、取引所でもすぐに買い手や売り手が付きます。
それによってテンポ良くトレードできる点が魅力です。

このような特徴を持つバイナンスが、なぜアメリカから撤退するという事態に陥ったのでしょうか。
次の項目で解説します。

バイナンスがアメリカから撤退した理由

バイナンスがアメリカから撤退した理由
バイナンスがアメリカから撤退した理由は、「銀行秘密法」の違反を中心に、「複数の制裁プログラム」違反、そして「本人確認(KYC)プログラムの維持」を怠ったことが挙げられます。
そして、それらの和解として行ったのがバイナンスの撤退です。

銀行秘密法は、1970年に制定された銀行秘密保護法(Bank Secrecy Act。 通常BSAと略称)のことです。
ここではマネーロンダリング対策が不十分だったことが考えられます。

複数の制裁プログラムは、制裁国またはテロ組織などに対して行っている資産凍結や金融期間の利用停止などのプログラムです。

同様に仮想通貨取引所でも本人確認を義務付けられており、その徹底があいまいだったという可能性もあります。

ただ、結論をいえばバイナンスが次のような組織の人間に仮想通貨取引所の利用を容認していたことが最大の原因といえるでしょう。

・テロと認定された組織またはその関係者:ハマス、イスラム国
・制裁対象地域:北朝鮮など
・犯罪者:マネーロンダリング業者
・サイバーセキュリティアクター(脅威アクター):サイバーセキュリティーに脅威をもたらすあらゆる個人またはグループ

このようにして「銀行秘密法」の違反を中心に、「複数の制裁プログラム」違反、そして「本人確認(KYC)プログラムの維持」を怠った3つの違反によって、罰金などが科されました。
その内容は、金融犯罪取締ネットワークへ34億ドル(約5100億円)、財務省外国資産管理局へ9億6800万ドル(約1452億円)の罰金を納付、そして5年間監視人を任命する処分です。

さらに和解として、創業者で取引ソフトウェアの開発者であるチャンポン・ジャオがCEOを退任することとなりました。
これだけ見ると、バイナンスはアメリカでの活動を停止し、多額の罰金支払いと最高幹部の退任という大きな譲歩をしたように見えます。

しかし、バイナンスは完全にアメリカから撤退したわけではありません。

バイナンスは完全な撤退ではない可能性

バイナンスは完全な撤退ではない可能性
バイナンス本体は、CEOの退任を含む厳しい処分によってアメリカから撤退することになりました。
しかし、バイナンスは完全な撤退ではない可能性があります。

先ほどの日本の例を挙げると、日本でも規制対象となり、バイナンス自身は2023年11月に日本に居住しているユーザーの利用を完全に停止し、事実上の撤退をしました。
しかし、バイナンスの傘下であるサクラ・エクスチェンジ・ビットコインを介して日本の法令に遵守した仮想通貨取引所を立ち上げようとしています。
つまり、傘下の組織が本体に代わってエリアにサービスを提供するというスタイルに運営を変更しようとしているのです。
これはアメリカでも例外ではありません。

実はバイナンスの関連組織として、バイナンスUS(Binance.US)と呼ばれる取引所の運営はバイナンス撤退後もアメリカ国内でのサービスを提供しています。
これは、バイナンスが直接運営する取引所ではなく、カリフォルニア州に本部があるBAM Trading Servicesが運営しているからです。
ただ、BAM Trading Servicesはバイナンスの傘下であり、直接運営から子会社に運営が移動したという見方もあります。

このように罰金こそ払ったもののバイナンスはアメリカでのサービスを続ける形になりますが、これはバイナンスにとってアメリカ市場の足掛かりを維持したというわけではありません。

すでにバイナンスUSは、このような罰金処分を受けて信用が低下しており、ユーザー離れを起こしています。
そのため、経営が深刻な状態になっており、CEOのブライアン・シュローダー氏が退任するとともに、従業員の1/3を解雇するという大掛かりなリストラを行いました。

バイナンス本体と傘下企業が運営するバイナンスUSの不調によって、アメリカ市場での取引量は大幅に減っています。
具体的な数値として、市場調査サイト「CoinGecko」のデータによると、その減少量は非常に大きなものです。
バイナンスはグループ全体で2023年5月に平均5億ドル(約740億円)水準の莫大な資金を日次取引量として扱っていたものが、2023年9月の時点では平均1,000万ドル(約15億円)にまで減少しているからです。

アメリカ市場での取引量がたった4ヶ月程度で50分の1にまで減ってしまったことを考えると、バイナンスの痛手は相当大きなものといえるでしょう。

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