オンラインカジノは
違法?合法?
- Legal judge -
オンラインカジノは違法?合法?
★オンラインカジノの誕生からこれまで
そもそもオンラインカジノは違法?合法?
★『オンラインカジノは違法』と明記されてはいない
『オンラインカジノは違法なのか?』
これは少しでもオンラインカジノに興味がある方にとって共通の疑問点だと思います。
この点について、まず言える事は【オンラインカジノが違法と明記された法律は存在しない】という事です。
日本の法律上”違法なギャンブル”とされているのは、難しい話は省略して簡単に言うと
『ギャンブルの興行者・開帳者(胴元)と参加者(プレイヤー)が同時に検挙できる場合』
とされています。
仮にオンラインカジノのプレイヤーが日本国内に居た場合でも、その胴元である運営会社が海外に存在する為日本国内の法律では胴元を同時に罰することはできません。
何よりオンラインカジノは海外の政府や自治領から運営許可を得て合法的に運営されている為、オンラインカジノの存在自体に何ら違法性はないのです。 その為、日本の司法が日本の法律に従ってオンラインカジノの胴元を検挙することはできませんし、仮に検挙しようとした場合には国際問題に発展しかねません。
上記の通り、日本の法律上”オンラインカジノは違法”と断言できる根拠はありませんが、逆に”オンラインカジノは合法”といえる根拠も存在しないのが実情です。
以上の理由から、オンラインカジノは
『違法とも合法ともいえないグレーゾーンである』
という見解が一般的となっています。
★日本の動きにカジノ側も反応
オンラインカジノはグレーゾーン的な扱いな為、法律の解釈の仕方やこじつけ次第で違法と読み取ることもできてしまいます。
実際、過去には警察が”オンラインカジノも違法である”と解釈してオンラインカジノのプレイヤーを検挙した事件も発生しました。
しかしながら、それはオンラインカジノ側から見れば
『合法的に行っている自分たちの営業の邪魔をされた』
という事であり、何より日本国内でのプレイが違法と断言できる理由は存在しない為、プレイヤー検挙のニュースが駆け巡った際大手のオンラインカジノとして知られているジパングカジノが以下のような声明を発表しています。
他のオンラインカジノ様でのご遊戯にて逮捕者が出ている事についてでございますが、公開されている情報を精査すると、特定方向への誘導も感じられる部分もあり、また逮捕=有罪(推定有罪)が全面的に押し出されている感があるかと存じます。
また現行法にて、オンラインカジノとして明確に定められていないと思われる状況下では、属人主義ではない賭博法の適用に疑問を感じるところであります。この一連の件に総じて言えることでは有りますが、報道の文章から見る限り、現在日本の刑法で制定されている賭博法の解釈に当てはめる事は難しく、罪刑法定主義として禁じられている、類推解釈、拡大解釈の可能性があるかと考えております。
報道で出ているカジノが私どものブランドではない弊社として、今回行動を起こすことはできませんが、今後、弊社ブランドでの遊戯にて登録者が逮捕され、それが弊社ブランドと共に公表されることがあれば、貿易上の不公平を訴え、弊社保有ライセンス国を通じWTO(国際貿易機関)に問題提起することを考慮し、また名誉毀損にて当該国裁判所に向けて提訴する事も吝かではありません。
国際最高レベルの条件をクリアしている状況下、国際基準を無視して企業イメージを損なう行為があった場合法令に基づき対応を取る事も視野に入れなければならない状況になる可能性もございます。
報道に関するジパングカジノの見解メールより引用
上記のように、警察の対応に対して【オンラインカジノ側の正当性やプレイヤーが不利な状況に置かれた場合、徹底的に争う】という姿勢を見せています。 それ程までにオンラインカジノに関する事件は運営側にとっては衝撃であり、且つそれに対してきっぱりと主張できる正当性がオンラインカジノには存在するのです。
オンラインカジノの歴史とこれまでの経緯
★従来問題なくプレイ出来ていた
そもそもオンラインカジノは、インターネットが一般的になりつつあった20世紀末に誕生したギャンブルであり、新顔と呼べる部類のギャンブルでした。
しかしながら、インターネットが爆発的に広まるにつれその使い勝手の良さも相まって、オンラインカジノのユーザーも全世界規模で右肩上がりに増え続け、ブックメーカー等昔から存在していたギャンブルと肩を並べるほどに成長していきました。
日本においては、オンラインカジノの黎明期の頃からインペリアルカジノが日本語対応を開始しており、21世紀に入ってからジパングカジノやジャックポットシティカジノ等日本語に対応したカジノが次々と誕生し、日本人でもオンラインカジノが遊べる環境は着々と整えられ、諸外国に比べ広まり方は緩やかなものの、着実にプレイヤー数を増やしていました。
基本的にオンラインカジノは海外で法的に認められたギャンブルであり、日本を含めた全世界でプレイされ、時には高額配当を叩きだす日本人プレイヤーも度々現れる等、オンラインカジノの誕生以来問題なくプレイ出来ていたこともあって、
「いつか日本国内でも公的に認められる日が来る」
と多くのプレイヤーがそう思っていました。
★業界激震!! オンカジプレイヤー検挙!
そんな中、2016年突然複数のオンラインカジノプレーヤーが書類送検され、オンラインカジノ業界に激震が走りました。
それ以前にも店舗型のオンラインカジノ(インカジ)で逮捕者が出ることはありましたが、無店舗型の、自宅でオンラインカジノをプレイしていたプレイヤーにまで警察の手が及んだのはこの時が初めてであり、業界は一時騒然となりました。
これまで長い間何の問題もなくプレイ出来ていたオンラインカジノに対して、突如として官憲の手が及んだことは非常に大きな驚きをもって受け止められ、オンラインカジノに興味のある・なしに関わらずその動向に多くの注目が集まる反面、オンラインカジノ業界は年初早々から発生したこの衝撃に、半ば静まり返る形となりました。
オンラインカジノの事件と要旨
オンラインカジノに関する事件は2016年に3件発生しています。
NetBanQ事件
2016年2月、オンラインカジノの決済サービスを行っていた『NetBanQ』の運営者が常習賭博の疑いで逮捕され、NetBanQを利用していたプレイヤー数名が家宅捜索・書類送検された事件。
スマートライブ事件
2016年3月、イギリスで運営されていた『スマートライブカジノ(Smartlive Casino)』を自宅のパソコンからプレイしていたプレイヤー3名が賭博の疑いで逮捕された事件。
ドリームカジノ事件
2016年6月、オンラインカジノの一つ『ドリームカジノ』に関して日本国内に在住の実質的運営者5名が、常習賭博の容疑で逮捕された事件。
★それぞれの事件の要点
3件ともオンラインカジノに関する事件と言う点では共通していますが、事件に至った要点は異なりますので、それぞれについて解説していきます。
まず、最後に起きた【ドリームカジノ事件】について、これはインカジ等と同じく「胴元が国内に居る」という全くもって言い逃れのできない理由による逮捕なので、非常にわかりやすいかと思います。
次に【NetBanQ事件】の概要としては
『オンラインカジノの決済サービスを行っていた「NetBanQ」をオンラインカジノの胴元とみなし、プレイヤーも検挙(書類送検)した』
という事件です。
実際NetBanQは「オンラインカジノとプレイヤー間の決済サービスを代行していた」だけで胴元ではないことは明白ですが、突然の、そして初めてのオンラインカジノが絡む事件として警察としては何としても”NetBanQを胴元としてみなしたかった”ような思惑も垣間見える事件と言えます。
(※警察が胴元としてみなしたかった理由は後述します)
最後に【スマートライブ事件】ですが、これは直接オンラインカジノのプレイヤーが逮捕された事件として、特に注目すべき事件です。
これまで、オンラインカジノは
『海外で政府が発行・認可した正式なライセンスを取得し、法的にも何の問題もなく運営されて』
おり、また海外で運営・営業していることから日本の法律は及ばないとして、日本国内でプレイしてもこれまで何の問題もありませんでした。
ただし、このスマートライブに関しては
- ディーラーが日本人であり、日本語でのコミュニケーションが可能であったこと
- 日本人ディーラーが登場する時間帯を、日本人が参加しやすい時間(日本時間の夕方~深夜)に合わせていたこと
等を理由に『日本向けに特化している』、すなわち『日本国内で営業している(と見なせる)』と判断し、逮捕に至ったという訳です。
続発する事件のその後
★事件続発!オンラインカジノは違法?
『これだけ事件や逮捕者・検挙者が続いているという事は、オンラインカジノはやっぱり違法なの?』
と思われる方も居られるかもしれませんし、"上で述べた事件に関する報道をリアルタイムで目にした方”や、”そういう事件があったという事を御存じの方”も中にはおられるかと思います。
ですが、これらの事件が最終的にどのような結末を迎えたのかと言う所まで御存じの方はそう多くないのではないでしょうか?
★事件のその後
ドリームカジノの件については、上述の通り国内に胴元がいたという扱いで立件、後有罪判決が下っています。
それ以外には、スマートライブ事件で逮捕されたプレイヤーやNetBanQ事件で書類送検されたプレイヤーの殆どが『単純賭博罪』として「略式起訴」と言う形で10~20万の罰金刑となったようです。
(※”略式起訴”とは、軽い罪の場合自ら罪を認め罰金を払うことで裁判を経ることなく判決が出る仕組みです)
しかし、殆どのプレイヤーが略式起訴を受け入れる中、一人それを良しとせず裁判で争う姿勢を見せた猛者もいたのです。
オンラインカジノは違法なのか?
★「賭博罪」とオンラインカジノ
オンラインカジノ等ギャンブルを取り締まる法律と言えば「賭博及び富くじに関する罪」(通称:賭博罪)ですが、この賭博罪には”賭博罪に該当する要件”つまり「違法となる要件」が明記されています。
その要件とは「”必要的共犯”の存在」、簡単に言えば『胴元と参加者が揃って初めて違法となる』と言う点です。
オンラインカジノに限らずギャンブル全体として必ず
『”主催者・興行主”等様々な呼び方で呼ばれる「胴元」』
『そのギャンブルに参加している「参加者・プレイヤー」』
が存在し、現行の日本の賭博罪では【この両者が揃い、且つ同時に罰すること】が前提とされ、どちらか片方だけの検挙・逮捕は法制度として想定されていない状態にあります。
(NetBanQ事件で警察がNetBanQの運営者を胴元と見なしたがっていたのも、これが理由だと思われます。)
つまり、現状の日本の法律的には
『競馬等認められているもの以外のギャンブルに参加することを禁止する法律は存在するけれども、それがオンラインカジノに適用されるかどうかは不明確』
な状態であると言えます。
(上記で述べた争う姿勢を見せたプレイヤーもその不明瞭な点、つまり
『違法かどうか明確に決められていないのにもかかわらず、(その不明確な点を根拠に)何故に突然検挙されなければならないのか?』
と言う点について言及しています)
★史上初 オンラインカジノの違法性を巡る争い
今回、史上初となったオンラインカジノの違法性を巡って争われた事案に関して、2017年『不起訴』という非常に画期的な結果がでました。
以下は裁判覚悟で立ち向かったプレイヤーの弁護を担当した弁護士のブログからの引用である。
賭博罪を専門とする弁護士として,新年早々非常に嬉しい結果を出すことができた。
私は昨年から,いわゆるオンライカジノをプレイしたとして賭博罪の容疑を受けた人の弁護を担当していたのであるが,これにつき,不起訴を勝ち取ったのである。昨年,オンラインカジノをプレイしていたユーザー複数が賭博罪の容疑をかけられた。
彼らのほとんどは,略式起訴されることに応じて(これに応じるかどうかは各人の自由である)軽い罰金刑になることに甘んじたのであるが,そのうち1人は,刑を受けることをよしとせず,略式起訴の打診に応じず争いたいとの意向を示した。弁護を担当したのは私であった。本件は,海外において合法的なライセンスを取得しているオンラインカジノにつき,日本国内のパソコンからアクセスしたという事案である。
この形態の案件は,従前検挙された例がなく,違法なのかどうかがはっきりしない状況になっていた。
賭博をやったのは認めるが,そのような状況で不意に検挙されたのが納得いかない,というのがその人の言い分であった。(中略)
結果が出たのは,間違いのない事実である。
本日時点において,オンラインカジノプレイヤーが対象となった賭博罪被疑事件で争った案件は国内でただひとつであり,そのひとつは,不起訴となった。
言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。
不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件 賭博罪改正を願う弁護士津田岳宏のブログ
今回プレイヤーが検挙された案件を担当した津田岳宏弁護士
オンラインカジノの今後と注意点
★不起訴を勝ち取った意義
今回不起訴(無罪)の判決を勝ち取れたことは非常に大きな意味があります。なぜなら、これまで明確に違法とも合法とも明記されておらず、グレーゾーンの状態に置かれていたオンラインカジノに、一定の司法的な評価が下されたとみることが出来るからです。
しかも、今回は検察自ら裁判に発展することを避け不起訴処分としているらしく、その点から鑑みるに現時点では法的に罰することは出来ないと判断されたものと思われます。
また、日本の司法は多くの場合過去の判例・前例を参考としている為、それに照らせば今回下された判断は今後の動向に一定の影響を及ぼすだろうことは想像に難くありません。
★オンラインカジノの法的扱いと注意点
しかしながら、今回不起訴となったからと言って即『オンラインカジノは合法!』と言う訳ではありませんし、オンラインカジノが依然違法とも合法とも明記されていないグレーゾーンである事には変わりはありません。
何より不起訴と言う結果は出たものの、現法体系のもとで逮捕・検挙の事実がある事も重く見る必要があります。
特にオンラインカジノのプレイヤーにとって今回の事件を重く見るという事は、
「今回の事件を鑑み、今後オンラインカジノをプレイする上で注意すべき点として生かす」
という事でもあります。
一、日本人にターゲットを絞ったテーブルが存在するカジノ等、警察の目に付きそうなカジノは極力避ける
一、表示名とアカウント名が共通になっているようなカジノは極力避ける
一、カジノのチャットで個人が特定されるような情報・コメントは決して書き込まない
一、個人ブログやツイッターなどのSNS等でカジノのプレイ内容や戦果等は決して書き込まない
上記箇条書きにした内容は今回の一連の事件、特にプレイヤーが逮捕されたスマートライブ事件における特徴として挙げられるポイントです。
『日本人にターゲットを絞ったテーブル』とは、「日本人ディーラーがいる」「日本時間を基準にしている」等のスマートライブカジノの特徴を指していますが、このような傾向は他のカジノでは見られない為他のカジノでプレイする分には特に問題ないと言えますので、各プレイヤーが気を付けるべきは『ブログやSNSでプレイしていることを書き込まない』ということでしょう。
★オンラインカジノの今後
今回の不起訴判決が出るより前の2016年12月、『カジノ解禁を含むIR推進法案(カジノ推進法)』が国会で可決されました。
これにより、今後日本国内でもカジノ解禁に向けた動きが活発になる事が予想されますし、オンラインカジノが解禁される日が来ることも十分に予想されます。
何より、この法律には『諸外国にならって日本でもカジノを解禁しよう』という意味合いも含まれている為、その参考となる諸外国において国家発行の正式なライセンスの下運営しているオンラインカジノが解禁される対象となり得る可能性は無いとも限らないからです。
しかしながら、海外で合法的に運営されているとはいえ日本ではいまだ明確に合法とされていない以上、絶対に検挙されないとは限りません。
その為、オンラインカジノが解禁されるであろう日が来るまでの間、カジノをプレイするか否かについては最終的にプレイヤー各個人の責任と判断に委ねられます。